「1対10」と黒板に書かれても、何のことか分かりにくい。でもこれをコーヒーに置きかえると、比という考え方が急に身近になる。今日は台所でできる、比の話をしてみたい。 【まず、比は「割合」の話】 コーヒーの粉10グラムに、水100グラム。この関係が「1対10」だ。粉を2倍の20グラムにしたら、水も2倍の200グラムにする。そうすると、量は増えたのに、味の濃さは変わらない。ここが比のいちばん大事なところで、比は「どちらがどれだけ多いか」ではなく、「2つがどういう関係にあるか」を表している。 【ニーナがつまずいたところ】 ニーナは最初、「粉を増やしたら濃くなるんでしょ」と言った。半分正解で、半分はずれている。粉だけ増やせば濃くなるが、水も同じ倍率で増やせば濃さは変わらない。パパは「粉と水が、手をつないで一緒に増えるかどうかだよ」と説明した。これはズレていない、めずらしく良い説明だった。 【台所でやってみる】 キッチンスケールがあれば、実際に試せる。同じ豆で、1対10と1対15の2杯を作って飲み比べてみてほしい。水が多い1対15のほうが薄い。数字の違いが、舌ではっきり分かる。教科書の中の数字が、味という形で体に届く瞬間だ。 ※ お子さんが飲む場合は、カフェインの量に注意してほしい。味見はほんの一口にするか、麦茶などカフェインのない飲み物で同じ実験をしても、比の考え方はまったく同じように確かめられる。 【比は、料理のあちこちにある】 お米と水、めんつゆと水、ホットケーキの粉と牛乳。台所は比だらけだ。レシピに「2倍の量を作りたいときは全部2倍」と書いてあるのは、比を保つという意味だった、と気づくと、算数の見え方が少し変わってくる。 【おうちの方へ】 正解を教えるより、「粉だけ増やしたらどうなると思う?」と先に予想させてから試すほうが、記憶に残りやすいと言われている。予想が外れたときこそ、いちばん考えている時間だ。うまくいかなくても、なんくるないさぁ、で構わない。 もっと味の変化を深く知りたくなったら、惑星calmの「抽出理論の保存版」で、比を含めた4つの変数の話を扱っている。