ニーナには、寝る前の小さな習慣がある。その日いちばん心が動いた瞬間を、ひとつだけ選んでノートに書く。「サッカーで勝った」でも「新しいパンツを買った」でもなく、なぜか毎回、誰も気づかないような小さな出来事が選ばれる。 【ある夜のノート】 『今日のいちばん、お湯が沸く音がぷくぷくって面白かったこと』 パパはこれを読んで「それは今日いちばんの出来事じゃなくて、毎日起きてることじゃない?」と真顔で聞き返した。ニーナは少し考えて、「毎日起きてるのに、今日初めて気づいたから、今日のいちばんなんだよ」と答えた。パパは黙って、次の日から自分もお湯の音を意識して聞くようになった。 【小さな出来事を、大きく扱わない】 このノートのルールはひとつだけ。すごい出来事を探さないこと。誕生日やお出かけのような特別な日は、放っておいても記憶に残る。ノートに書く価値があるのは、放っておいたら忘れてしまう、名前のない瞬間のほうだと、ニーナは考えている(らしい、とパパは言う)。 【うちでも真似できること】 難しい道具はいらない。紙とペン、それか頭の中だけでもいい。寝る前に、今日いちばん心が動いた瞬間をひとつだけ思い出してみてほしい。大きな出来事である必要はない。むしろ、小さければ小さいほど、思い出すのに少し時間がかかるはずだ。その「思い出すのに時間がかかる」という感覚こそが、忙しさに埋もれかけていた一日を、もう一度自分の手に取り戻す作業になる。 パパとニーナの日々のやりとりは、Instagramの「パパとニーナの、小さな幸せの種蒔き」でも少しずつ紹介している。今日のいちばんを、よかったらのぞいてみてほしい。